山登りをしたきっかけ
山登りを始めたきっかけ、というのは、あれは確か20歳台の後半、先輩のKさんが結婚して、離婚して山登りを始めた、と聞いて、じゃあ僕も付き合おう、と急いで靴を買ってきて年末の慌ただしい時に六甲山へ登ったのが最初だった。
あの時は恐らく
「話でも聞いたあげよう、、」
という気持ちだったように思う。
結婚したのはもちろん知っていた。でも結婚式は身内だけで上げたはずなので、どんな人と結婚したのかは知らなかったけど、一度だけ家に遊びに行って奥さんに軽口をたたいたかすかな記憶だけが残っている。
K先輩の結婚生活は1年も持たなかったらしい。
家に遊びに行ってしばらくして、何回か電話をしたんだけど(その頃は携帯はなかったので家の電話に)、誰も出ず、おかしいなぁと思ってもうひとりの先輩に「もしかしてKさん別れたんちゃう?」なんて冗談で言ってたのですが、もうその頃には別れていたことを知ったのはその六甲登山のときでした。
「傷心登山」
ってその時は言ったりしておりましたが、実際山登りというのは久しぶりに登るとこれほど辛いものはなく、早く頂上へ、早く光が見える場所へ、とそんなことばかり思いながら登るものですから、まだその時は「登山の楽しさ」なんてものは感じることが出来なかったように思います。
ただ、六甲山の頂上から魚屋道を通って有馬に降り、温泉に浸かる頃になるとようやく「あぁ、登山って気持ちいいなぁ、、」と思えるようになるから不思議なものです。
ただ、それからも「山の虜」などにはなることもなく、年に一度だけ、恒例の山登りということで年末に六甲山に二人で登ることをずっと続けることになったのでした。